2022年7月16日土曜日

訪問看護師のネクストステージ

コンサルの依頼があった。「高齢者向けの住まいを建てたいので相談したい。」 ということだった。彼女は約9年前に訪問看護ステーションを株式会社で立ち上げた。その直後に私の大分県での管理者研修会を受講した。そしてその時私に経営上の数値を見せ私から「大丈夫!この数字ならやれるでしょ」と言われた。それで10年間頑張ってきたという。彼女の訪問看護ステーションは大規模でヘルパーステーション・居宅介護支援事業所など多機能経営である。

今回は有料老人ホームでもサービス付き高齢者住宅でもなく高齢者が安心して住まうことができる、そんな建物をつくる。つまり住まいを提供し高齢者の終の棲家にしたいと考えた。土地はすでに取得しあとは銀行から融資を受けるだけ。

この計画を聞き訪問看護師もここまできたか!と感激した。制度にこだわることなく地域の高齢者に必要な住まいとサービスを提供し最後の日まで安心して過ごしてほしい。これは今まで関わってきた多くの訪問看護利用者から得た情報をもとにこんな住まいが必要!と確信し、それを具現化しようとしているのだ。

訪問看護ステーションで億単位稼ぐ訪問看護師は多くなっている。管理者研修会で億単位で稼ぐこと、それは看護実践の確かさによると教えてきた。しかし今回の事業に関しては数十億の借り入れをすることになる。看護実践でステーションを黒字化しその後壮大な事業を計画する。そんな経営者としての訪問看護師がでてきたことに驚きと嬉しさを感じ、最大限のエールを送りたい。


2022年5月31日火曜日

ハラスメント対策の義務付け

 2022年4月、職場内のハラスメント対策が義務付けられた。

指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準第30条(勤務体制の確保等)新設

「指定訪問介護事業者は、適切な訪問介護の提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより訪問介護員等の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。」準用:訪問介護は訪問看護と読み替える

下線部はセクシャルハラスメント及びパワーハラスメントのことを示している。パワハラ・セクハラを経験した訪問看護師は多いと思うが、その実態は明らかになっていない。

これは職場でのハラスメントがないのではなく、ハラスメントを受ける側とハラスメントする側の意識の問題が大きい。管理者からの何気ないパワハラやセクハラはもしかすると日常的で、ハラスメントを受ける側は「また言ってる」「いつものことだ」などと受け流していることはないだろうか!

ハラスメント対策はそれらのことを明らかにすること、つまり「こんなことを言われ嫌だった」「こんないやなことを経験した」などステーション内で言語化し共有することから始まる。それには職員一人ひとりが自分の受けたハラスメントを発言できる職場環境をつくることである。

これには管理者の役割が大きい。管理者自身が職場におけるパワハラ・セクハラとは?をみずからの行動について振り返ることから始まる。

気づかないうちにしているパワハラ・セクハラありませんか?







2022年4月2日土曜日

医療保険改定と報酬算定

医療保険改定の年です。改定内容が示されました。これから報酬改定セミナーが行われます。そして我先にと多くの管理者・訪問看護師が受講します。しかし残念なことに改定された報酬を自らの訪問看護ステーションで運用できていないことがコンサルで散見されます。例えば算定要件を満たしているのに改定内容の理解ができず、またチェックしていないために算定していない残念な例があります。まず改定内容を把握すること、そして改定内容を算定する方法を考えることです。せっかくのチャンスを見過ごさないようにしましょう!

令和4年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護)|厚生労働省(mhlw.go.jp)

2022年1月7日金曜日

タスク・シフト/シェアの推進

 2021年9月30日厚生労働省が現行制度下におけるタスク・シフト/シェアの推進について通知があった。医師の時間外労働の上限規制が適用される令和6年4月に向け医師の労働時間の短縮を進めるために、多くの医療機関職種それぞれが自らの能力を生かしより能動的に対応できるよう、制度下で実施可能な範囲で医師の業務のうち医師以外の医療関係職種が実施可能な業務のタスク・シフト/シェアが示された。

看護師へのタスク・シフト/シェア訪問看護関連では、特定行為(38行為21区分)の実施、事前に取り決めたプロトコールに基づく薬剤の投与、採血・検査の実施、注射、カテーテル留置、抜去等の各種処置行為などである。医師の指示書はもちろん必要だ。それに加え事前に予測可能な範囲で対応の手順をまとめたプロトコール作成が重要だ。

下記資料を参照してください。

現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について


2021年12月6日月曜日

来年の診療報酬改定(医療保険改定)の情報

 来年は診療報酬改定(医療保険改定)です。11月は中医協総会が開かれ訪問看護ステーションの報酬についても議論がおこなれました。

在宅看取り推進に向けたターミナルケア療養費の要件見直し、重度者への複数名訪問看護加算の見直し、退院日当日の訪問看護基本療養費の算定による自宅での看取り推進、機能強化型訪問看護ステーションⅠ・Ⅱの地域住民への情報提供や人材育成の要件化などの議論が行われたようです。

在宅看取りの推進と重症で医療依存度の高い利用者への円滑な看護提供や、機能強化型訪問看護ステーションの役割強化などに着目した議論になっているようです。これからの発表に注目したいものです。

2021年10月16日土曜日

精神科病院入院の経験者へのアンケート調査から

 日本弁護士連合会 人権擁護大会で精神科病院での入院経験を有する約1000人へのアンケート・インタビュー調査(実施期間:2020年6月20日~7月31日、12月12~25日)の結果も報告されました。記事を紹介します。

入院経験がある人の約8割が入院中に「悲しい・つらい・悔しい」などの体験をしたことや、約4割が「入院に納得できなかった」ことが明らかになった。「悲しい・つらい・悔しい」体験の内容としては、「外出制限」(12%)「保護室」(12%)「薬の副作用」(11%)「入院の長期化」(10%)の順に多かった(複数回答可)。「患者は、精神科病院で一般的におこなわれていることに対して、悲しみやつらさを感じている」と指摘し、自由記述欄には「孤独」「収容所のようだった」「一人の人間として扱われなかった」「飼育されているようだった」などの言葉が並んだ。

辛い悲しい経験をした入院生活には戻りたくないと考えるのは当然でしょう。精神科訪問看護利用者がこのような経験をしていることを踏まえた看護、そして再入院しなくて済むような看護を提供することです。



2021年10月13日水曜日

Withコロナの訪問看護

 Withコロナの訪問看護、感染予防対策は当然のこと。もっとICT化を進めることだと思う。訪問看護提供は対面。記録やミーティングや退院時共同指導やサービス提供者会議などの集まって実施する会議等はリモートで可能。すでに対応している訪問看護ステーションも多い。病院で働いていた看護師、携帯当番や一人で訪問することがステーションの就職のハードルを高くしている。そんな中せっかく就職した看護師がステーションの「紙」の記録にドン引きしたというエピソードありますよ。

まだ申請できるICT化の補助金あるかもしれないので県の担当部署に問い合わせしてみたらいかがですか?